AGAコラム
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記事更新日:2024.09.26
監修医情報
ナチュラルAGAクリニック 院長 新行内 出
経歴
2013年3月 | 千葉大学医学部卒業 |
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2013年4月 | がん研有明病院勤務 |
2014年4月 | 東京大学医学部付属病院勤務 |
2015年4月 | 大手AGAクリニックA勤務 |
2017年6月 | 大手AGAクリニックB勤務 |
2021年5月 | ナチュラルAGAクリニック開院 |
資格・所属
フィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)や前立腺肥大症の治療に広く用いられる医薬品です。その効果は科学的に証明されており、世界中で多くの男性がフィナステリドによる治療を受けています。しかし、その一方で副作用や使用上の注意点も存在します。本記事では、フィナステリドの効果と副作用、そして一般的にある質問について詳しく解説します。また、同じような作用を持つデュタステリドとの違いについても説明します。フィナステリドをすでに使用している方や、今後使用を検討している方にもわかりやすく解説します。
フィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)の代表的な治療薬です。フィナステリドの主な作用は、男性ホルモンであるテストステロンを、抜け毛を引き起こすDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する酵素、5αリダクターゼを阻害することです。この酵素が阻害されることで、DHTの生成が抑えられ、毛髪の成長を阻害するDHTの影響を受けにくくなります。その結果、薄毛の進行が遅くなったり、発毛することが期待できます。
フィナステリドの効果を実感するまでの期間は、個々の体質や薄毛の状態により異なりますが、一般的には3〜6ヶ月程度です。しかし、フィナステリドは長期的に服用することで効果が現れる薬であるため、すぐに結果が出るとは限りません。また、治療初期では、逆に抜け毛が増えることもありますが、これは新しい毛髪が成長するために古い毛髪が抜ける「初期脱毛」で、一時的なものです。フィナステリドの効果を正確に把握するには、服用開始前の髪の状態を写真等で記録しておき、定期的に比較することが推奨されます。
フィナステリドの副作用の一つとして、性欲低下が報告されています。これは、フィナステリドが男性ホルモンであるテストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する酵素を阻害する働きを持つため、性欲を司る男性ホルモンのバランスが乱れることで起こる可能性があります。具体的には、性的な興奮を感じにくくなったり、性行為への興味が減退するといった症状が現れることがあります。
しかし、全ての人がこの副作用を経験するわけではなく、個々の体質や健康状態により異なります。
副作用のリスクを最小限に抑えるためにも、フィナステリドの服用は医師の指導のもと、適切な用法用量で行うことが重要です。
フィナステリドを使用すると精液量の減少が報告されています。この副作用は、フィナステリドが男性ホルモンの一つであるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制するため、精子の生成環境に影響を及ぼす可能性があると考えられています。精液量の減少が起こる場合、通常は治療開始後3~6ヶ月程度で現れ、用量によっては更に早く現れることもあります。ただし、全ての人がこの副作用に見舞われるわけではありません。また、副作用の程度も個々に異なり、軽度から重度まで様々です。重大な影響を及ぼすことは稀で、多くの場合は薬の服用を中止すれば改善します。妊活の際には妊活予定の1ヶ月前からの内服中止が推奨されます。しかし、中には服用を止めても症状が続くケースもあります。これを「ポストフィナステリドシンドローム(PFS)」と呼び、後述します。なお、フィナステリドの服用による精液量の減少が男性の生殖能力にどの程度影響を及ぼすかについては、現在のところ明確な結論は出ていませんが、妊活中の男性は服用を避けた方が無難かもしれません。
フィナステリドの副作用の一つに「女性化乳房」があります。これは男性が乳房の肥大化や乳頭の敏感性増加といった、通常は女性に見られる乳房の特徴を示す状態を指します。フィナステリドは男性ホルモンであるテストステロンの変換を阻害する作用がありますが、その結果、体内のエストロゲン(女性ホルモン)の比率が相対的に高まることでこの現象が起こると考えられています。特に、長期間にわたりフィナステリドを服用していると、この副作用のリスクは高まる可能性があります。女性化乳房は、見た目の問題だけでなく、触れると痛みを伴う場合もあり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。そのため、フィナステリドの服用を続ける上で、この副作用については十分に理解しておくことが重要です。
フィナステリドの副作用として報告されているものの中には、睾丸の痛みも含まれます。これは、フィナステリドが男性ホルモンの一つであるDHTの生成を抑制する作用により、睾丸内部のホルモンバランスが変化し、痛みを引き起こす可能性があると考えられています。痛みは個々の体質やフィナステリドの使用量、使用期間などにより異なるため、全ての方が同じように体験するわけではありません。また、この症状は一時的なものであることがほとんどで、薬を中止すれば改善することが多いです。しかし、もし痛みが続く場合や、他の副作用と合わせて重篤な症状があらわれた場合には、すぐに医療機関に相談することが重要です。
フィナステリドの使用により、稀に肝機能障害が起こることがあります。肝機能障害とは、肝臓の働きが低下することで、体内の毒素を排除したり、栄養素を分解・合成したりする能力が低下します。フィナステリドを使用すると、肝臓に負担がかかり、このような症状が生じる可能性があるのです。特に、既に肝臓に持病をお持ちの場合や、アルコールを頻繁に摂取する人は注意が必要です。
身体の症状としては、全身のだるさや疲労感、食欲不振、吐き気などが現れます。また、皮膚や目の白い部分が黄色くなる黄疸も見られます。これらの症状が出た場合、すぐにフィナステリドの使用を中止し、医師に相談してください。
また、肝機能障害は検査値の変化としても確認できます。特に、肝臓の酵素であるALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)やAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)の値が上昇します。フィナステリドを長期間使用する場合は、定期的な血液検査でこれらの値をチェックし、早期発見・早期対応をすることが推奨されます。
フィナステリドの副作用として、一部の使用者から抑うつ症状が報告されています。これは薬物が脳内のホルモンバランスを変えることにより、気分が低下し、悲しみや無気力感が続く状態を指します。抑うつ症状は、自覚症状が多く、周囲からはなかなか気づかれにくいため、自分自身で異変に気づくことが重要です。
この症状が現れた場合は、医師に相談し、適切な対処法を探ることが必要です。また、抑うつ症状は生活習慣の乱れやストレスなど、フィナステリド以外の要因でも引き起こされることがあります。それらの要因との関連性も考えながら、症状と向き合うことが大切です。
フィナステリドの副作用が絶えず、医学界でも注目を浴びている問題が「ポストフィナステリドシンドローム(PFS)」です。PFSとは、フィナステリドの投与を中止した後も性欲低下、精液量の減少、女性化乳房、睾丸の痛み、肝機能障害、抑うつといった副作用が続く現象を指します。一部の利用者に見られるこの症状は、投与を終えても改善しないことが特徴で、その原因や解決法はまだ明らかにされていません。
PFSは、フィナステリドの服用を中止してもホルモンバランスが元に戻らず、体内のテストステロンが正常なレベルに戻らないために起こると考えられています。この状態が長く続くと、前述の副作用が永続化する可能性があります。特にPFSによる抑うつは深刻で、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
このため、フィナステリドを使用する際は十分な情報収集と医師との相談が必要です。また、副作用が現れた場合や服用を中止した後も症状が改善しない場合は、すぐに医療機関に相談することを強く推奨します。PFSは現在も研究が進行中で、最新の情報をチェックすることも重要です。
フィナステリドの副作用が心配な方や、薬を使わないAGA治療法に興味がある方は、こちらの記事をご覧ください。
フィナステリドを服用していると、精液量に変化が生じることが報告されています。これが直接的に妊娠率や妊娠の可能性に影響を与えるという明確な科学的証拠はまだありませんが、一部の研究では、フィナステリドの服用が精液の品質に影響を与える可能性があると指摘されています。
妊活中や妊活を予定している場合は、医師と相談することが重要です。フィナステリドは血液を通じて体内に分布しますので、妊娠中の女性が薬に触れると胎児に影響を与える可能性があります。また、フィナステリドを服用している男性が精液を提供する際には、適切な保護措置を講じる必要があります。
また、フィナステリドは長期間服用することで効果が現れる薬であるため、子作りのために一時的に服用を中止すると、その間に薄毛の状態が進行する可能性もあります。そのため、フィナステリド以外の治療も含め医師と相談することが重要です。
フィナステリドの治療において、効果が出始めたと感じると、自然と「薬の量を減らせるのでは?」と思うかもしれません。しかし、フィナステリドは、一度効果が現れたからと言って、その効果が永続するわけではありません。治療は継続性が重要で、薬の量を自己判断で減らすと、効果が薄れ、抜け毛が再び増える可能性があります。医師との相談なしに薬量を変更することは避けるべきです。
また、費用についても、薬の量を減らすと費用が減るかもしれませんが、その分、効果も下がる可能性があるため、結果的には高額な費用がかかる可能性もあります。また、一度改善した症状が悪化すると、元の状態に戻すためにはより多くの時間と費用が必要となる可能性もあります。フィナステリドの服用量や費用については、医師と相談しながら適切な判断をすることが重要です。
一部の人々には特定の健康上のリスクが存在し、使用を控えるべきとされています。例えば、フィナステリドは男性のみに対して処方される薬であり、妊娠中や授乳中の女性、特に妊娠可能性のある女性は絶対に使用すべきではありません。これは、フィナステリドが胎児の男性器官の正常な発育を阻害する可能性があるからです。また、肝機能に問題を抱える人や、フィナステリドやその他成分に対して過敏反応を示す人も使用を避けるべきです。その他、重度の腎臓疾患や前立腺がんの既往歴がある人も医師の指導がなければフィナステリドを使用すべきではありません。また、フィナステリドは持続的に使用することで効果を発揮するため、長期的な服用を続けることが難しい人も良い適応とは言えません。これらの要因に該当する方は、必ず医師と相談し、フィナステリド以外の適切な治療法を選択してください。
フィナステリド単体でも薄毛の改善が期待できます。フィナステリドは、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制し、DHTが毛乳頭細胞に与えるダメージを軽減します。これにより、薄毛の進行を遅らせ、発毛効果も見られます。
フィナステリドの効果を最大限に引き出すためには、早期からの服用や他の薄毛治療法との併用が推奨されます。例えば、フィナステリドとミノキシジルの併用が効果的とされています。ミノキシジルは血流改善効果があり、フィナステリドと一緒に使用することで、毛髪の成長をより促進することが可能です。低出力レーザー治療と組み合わせることでさらに発毛効果を期待することも可能です。
フィナステリドの服用が必ずしもAGAの進行を止める唯一の方法ではありません。他のAGA治療薬やサプリメント、低出力レーザーやマイクロニードルなどの機器を使用した治療法も存在します。これらの方法を行うことで、フィナステリドを飲まなくても、AGAの進行を阻止することが可能です。
それぞれの状況に合わせた最適な治療法を選択することが重要で、専門家と相談しながら自分に合った治療法を選ぶことをお勧めします。
フィナステリド(プロペシア)とデュタステリド(ザガーロ)は、どちらもAGA(男性型脱毛症)の治療に使用される医薬品ですが、効果の発現や副作用には微妙な違いがあります。フィナステリドは、5αリダクターゼという酵素のⅡ型を阻害し、男性ホルモンであるテストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されるのを抑制します。一方、デュタステリドはフィナステリドよりも新しく開発され、5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の両方を阻害します。そのため、デュタステリドはフィナステリドよりもDHTの生成を強力に抑制し、より早く薄毛の進行を止めるとされています。しかし、その分副作用のリスクも高いと言われています。
本記事では、フィナステリドについて詳しく解説しました。フィナステリドの概要、効果と作用機序、副作用、そしてフィナステリドに関するよくある質問について触れてきました。フィナステリドは薄毛治療に効果的な薬である一方で、副作用もあるため、使用する際には注意が必要です。また、フィナステリドによる治療がすべての人に適しているわけではなく、個々の体質や症状により判断する必要があります。本記事を通じて、フィナステリドについての理解を深め、適切な使用方法を知ることで、安全に治療を進めることができることを願っています。これからフィナステリドを使用する予定の方、すでに使用している方も、上記の情報を参考にして、自身の健康を最優先に考えた選択をしてください。
フィナステリドの副作用が心配な方や、薬を使わないAGA治療法に興味がある方は、こちらの記事をご覧ください。