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    塗る女性ホルモンは薄毛に効くのか?効果・リスク・研究結果を医師がわかりやすく解説

    塗る女性ホルモンは薄毛に効くのか?アイキャッチ

    記事更新日:2025.12.11

    薄毛・AGA対策の新たな治療法として注目されている「塗る女性ホルモン」ですが、その効果やリスクをしっかり理解できていますか?この記事では、薄毛治療として注目される塗る女性ホルモン(外用エストロゲン)の有効性や安全性を、医師の視点からわかりやすく解説します。女性ホルモンを塗ると頭皮と髪にどのような効果があるのか、またフィナステリドや他の治療法との比較など、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

    塗る女性ホルモンは薄毛に効くのか?

    監修医情報

    新行内 出

    ナチュラルAGAクリニック 院長 新行内 出

    経歴

    2013年3月 千葉大学医学部卒業
    2013年4月 がん研有明病院勤務
    2014年4月 東京大学医学部付属病院勤務
    2015年4月 大手AGAクリニックA勤務
    2017年6月 大手AGAクリニックB勤務
    2021年5月 ナチュラルAGAクリニック開院

    資格・所属

    • 日本美容皮膚科学会 正会員
    • 日本抗加齢医学会 正会員

    塗る女性ホルモン(外用エストロゲン)とは?

    塗る女性ホルモン(外用エストロゲン)とは?

    塗る女性ホルモンとは、エストロゲンを含むクリームやジェルを肌に塗る方法です。主に更年期障害の症状緩和やエイジングケアに使われ、口から錠剤として摂取する場合と異なり、塗る女性ホルモンは全身への影響が少ないとされています。薄毛ケアとしても、頭皮に塗布することで髪の成長を促進するのではないかと言われ、近年研究が進められています。

    なぜ薄毛治療として注目されているのか

    エストロゲンが薄毛治療として注目される背景には、まず「妊娠中は髪が増える」という分かりやすい現象があります。妊娠期はエストロゲンが高値となり、毛包が成長期に留まりやすく、抜け毛が減ることが知られています。逆に、出産後にエストロゲンが急低下すると一時的に抜け毛が増えることから、エストロゲンと毛周期の関連性が示唆されてきました。

    さらに、更年期に入ってエストロゲンが減少すると、女性型脱毛症(FPHL/FAGA)の発症率が上昇することも知られれています。これらの事実から、「不足したエストロゲンを補えば薄毛の改善につながるのでは」という期待が寄せられているのです。

    医薬品と市販の育毛剤の違い

    厳密な意味で女性ホルモン(エストロゲン)を配合しているのは、医療用の製剤だけです。
    エストロゲンは医薬品成分に分類されており、市販の化粧品や育毛剤に配合することは認められていません。

    一方、市販品に含まれる「女性ホルモン様」「ホルモンバランスを整える」といった成分は、実際にはホルモン作用を持たず、イソフラボンなどの植物エキスや保湿成分です。医学的なホルモン治療とはまったく別物です。

    塗る女性ホルモンの薄毛への効果

    髪の毛への作用メカニズム

    女性ホルモン(エストロゲン)は、毛包にあるエストロゲン受容体に結びつき、髪の成長を支える働きを持つ可能性があります。エストロゲン受容体が刺激されると、毛包の細胞が健やかに働きやすくなり、成長期(髪が伸びる時期)を安定させる方向に作用します。

    また、エストロゲンは皮膚のハリやうるおいに関わるコラーゲンを保つ働きや、血流を改善する作用もあり、こうした頭皮環境の改善が間接的に毛包のコンディションを整える可能性があります。

    これらの生理的な作用から、「外用エストロゲンが薄毛のサポートにつながるのではないか」と期待され研究が行われています。

    DHTに対する抑制効果

    エストロゲンは、男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)を直接抑えるわけではありませんが、男性ホルモンの作用を相対的に弱める働きがあると考えられています。そのため、ホルモンバランスの崩れによって男性ホルモンの影響が強くなりやすい女性の薄毛では、外部からエストロゲンを補うことでバランスが整い、脱毛の進行を抑えられる可能性があります。

    ただし同時に、女性の薄毛は男性ホルモン以外の要因も複雑に関わっているため、エストロゲンだけで改善できる範囲には限界があるとも考えられます。

    女性と男性それぞれに対する効果

    外用エストロゲンは、男性よりも女性の薄毛に対して着目されてきた成分です。女性ではホルモンバランスの補助として、薄毛治療の研究がされています

    一方、男性では男性ホルモンの影響が強く、エストロゲン外用だけで男性の薄毛を改善する効果はあまり期待できません。また、男性への長期使用はホルモンバランスへの影響が懸念されるため、一般的には推奨されていません。

    塗る女性ホルモンの研究結果

    マウスを使った研究での発毛効果

    マウスを使った研究では、外用エストロゲンを塗ると、化学療法(抗がん剤)で傷んだ毛包が通常より早く再生することが示されました。外用エストロゲンを塗るといったん強く抜けるものの、毛包が次の成長期へスムーズに切り替わりその後の“髪の生え変わり”が早まることが分かりました。

    ただし、これは特殊な状況での結果であり、男性・女性の薄毛(AGAやFAGA)に同じ効果があるとは限りません。あくまで基礎研究段階のデータとして位置づけられています。

    塗るフィナステリドとの比較

    閉経後女性を対象とした臨床研究では、薄毛治療として外用フィナステリド0.5%と外用エストロゲン(17α-エストラジオール0.05%)の効果が比較されました。その結果、髪の密度改善や脱毛の進行抑制はフィナステリド外用が優位で、17α-エストラジオールはごく軽度の変化にとどまりました。重大な副作用は報告されなかったものの、女性の薄毛改善には外用エストロゲンの効果は限定的という結論が示されています。

    薄毛に対する塗る女性ホルモンは現時点では推奨されない

    このように、塗る女性ホルモン(外用エストロゲン)は毛包に作用するメリットが期待されていますが、薄毛治療としての塗る女性ホルモンの臨床エビデンスは乏しく、改善効果は限定的です。女性の薄毛治療で標準的なのはミノキシジル外用であり、そのほか低出力レーザーなど確立された治療と比べても、外用エストロゲンは効果が劣ります。さらに、ホルモン製剤である以上、長期使用時の全身への影響も否定できません。こうした点から、現時点では薄毛治療として積極的に推奨できる方法とは言えません。

    塗る女性ホルモンの副作用とリスク

    皮膚炎

    外用エストロゲンを使用することによって、成分そのものへの反応や基剤との相性によって皮膚炎(かぶれ・赤み・かゆみ) を起こすことがあります。多くは一時的なものですが、悪化すると使用を継続できなくなることもあります。

    ホルモンバランスへの影響

    外用エストロゲンは塗布した部位から一部が体内に吸収される可能性があり、ホルモンバランスに影響を及ぼすリスクがあります。特にエストロゲン感受性の高い組織(乳房・子宮など)に作用する可能性が指摘されており、乳房の張り、不正出血、月経周期の変化などが起こる可能性もあります。内服や貼付エストロゲンほどの影響ではありませんが、乳がんや子宮体がんリスクについても考慮が必要です。

    その他の薄毛治療の選択肢

    AGAの説明イメージ

    現時点では塗る女性ホルモンは薄毛治療として強く推奨されるものではなく、その他の選択肢を優先すべきと考えられます。

    ミノキシジル外用

    ミノキシジル外用薬は、男女共通で最も標準的に使われている薄毛治療のひとつです。血流を促進し、毛包の成長期を延長することで、髪の密度改善や抜け毛抑制に効果が期待できます。日本でも男性用に5%、女性用に1%濃度が市販されており、副作用が比較的少ない点も特徴です。継続使用で効果が安定するため、薄毛治療の第一選択として幅広く推奨されています。

    低出力レーザー(LLLT)

    低出力レーザー治療(LLLT)は、赤色レーザー光を頭皮に照射し、毛包の細胞活動を高めて髪の成長を促す治療法です。血流改善や細胞のエネルギー産生を助けることで、発毛効果や抜け毛の抑制が期待できます。副作用が少ないため、男女問わず行いやすいのが特徴です。女性に対してもミノキシジル外用とともに薄毛治療として科学的根拠が蓄積され、国際的なガイドラインでも推奨されています。

    フィナステリド内服

    フィナステリドは、主に男性のAGA治療で使用される内服薬で、薄毛の原因となる男性ホルモンDHTの生成を抑える作用があります。DHTが毛包を萎縮させるのを防ぐことで、抜け毛の進行を遅らせ、髪の密度維持に効果が期待できます。ただし女性への使用は基本的に推奨されておらず、特に妊娠可能年齢では禁忌とされています。継続的に服用することで効果が現れるため、男性AGAの主要な治療薬として位置づけられています。

    アデノシン外用

    アデノシンは、体内にも存在する成分で、毛包の細胞を刺激して髪の成長をサポートします。頭皮に塗布すると、成長期を促すFGF-7(成長因子)を増やし、髪の太さや密度の改善に役立つと報告されています。ミノキシジルに比べ刺激が少なく、女性でも使いやすいのが特徴です。安全性の高さから「副作用の少ない育毛成分」として注目されています。

    塗る女性ホルモンの使い方

    使用方法・使用量・頻度

    外用エストロゲンは、医師の指示に従って頭皮の気になる部分に少量を塗布して使います。一般的には1日1回〜2回、適量を指先でやさしく広げるように塗布します。使用量は処方された濃度や剤形によって異なり、自己判断で増量することは避けてください。

    妊娠希望・妊娠中・授乳中は避ける

    外用エストロゲンは塗布量が少なくても体内にわずかに吸収される可能性があり、胎児や乳児への影響が完全には否定できません。そのため、妊娠を希望している方、妊娠中、授乳中の使用は避けるようにしてください。

    まとめ

    塗る女性ホルモン(外用エストロゲン)は、毛包の受容体に作用して成長期をサポートする可能性がある一方、現時点で薄毛治療としての臨床エビデンスは乏しく、効果は限定的です。また、皮膚炎やホルモンバランスへの影響、長期使用時の安全性が明確ではない点も懸念されます。

    薄毛が気になる場合は、自己判断でホルモン製剤を使うのではなく、専門の医療機関で原因を評価し、自分に合った治療プランを相談することが重要です。まずは信頼できるクリニックや医師に相談し、最適な治療を行うようにしましょう。

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