【医師監修】フィナステリドの副作用：肝臓への影響と対策

フィナステリドは男性型脱毛症（AGA）の治療に用いられる医薬品で、抜け毛を抑え、毛髪の成長を促進し、AGAの進行を遅らせる効果があります。しかしながら一部の方で肝臓への副作用を生じることがあります。フィナステリドを服用する際に注意すべき肝臓への副作用について詳しく見ていきましょう。

フィナステリドによる肝臓への副作用

ここでは、フィナステリドの肝臓への副作用について詳しく解説します。

フィナステリドのその他の副作用についてはこちらの記事もご覧ください。

AGAコラム

2024.05.16

【医師監修】フィナステリドの効果と副作用を解説

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フィナステリドとはフィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)や前立腺肥大症の治療に広く用いられる医薬品です。その効果は科学的に証明されており、世界中で多くの男性がフィナステリドによる治療を受けています。しかし、その一方で副作用や使用上の注意点も存在します。本記事では、フィナステリドの効果と副作用、そして一般的にある質問について詳しく解説します。また、同じような作用を持つデュタステリドとの違いについても説明します。フィナステリドをすでに使用している方や、今後使用を検討している方にもわかりやすく解説しま...

フィナステリドで肝臓に副作用が起こる理由

フィナステリドが肝臓に副作用をもたらす理由は主に以下の2つのメカニズムによるものと考えられています。

まず、フィナステリドは肝臓で代謝される薬物であるため、肝臓に直接的な負担がかかります。肝臓は体内の解毒機能を担っており、薬剤の代謝や分解を行います。フィナステリドを長期間使用することで、肝臓の酵素系が過度に働き、肝機能の低下や異常が引き起こされる可能性があります。特に、肝臓に既存の疾患がある場合や他の薬剤を併用している場合、フィナステリドの代謝が正常に行われず、副作用が顕著に現れることがあります。

次に、フィナステリドはホルモンバランスに影響を与える薬物であるため、肝臓にもその影響が及ぶという点です。フィナステリドは5α-還元酵素の働きを阻害し、ジヒドロテストステロン（DHT）の生成を抑制します。このホルモンバランスの変化が、肝臓の細胞にストレスを与え、肝機能に影響を与えることがあります。特にホルモンバランスが敏感な人にとって、フィナステリドの影響は大きく、副作用として肝機能障害が現れることがあります。

また、フィナステリドの使用により肝臓での脂肪代謝に影響が出ることも報告されています。これは、肝臓の脂肪蓄積を引き起こし、脂肪肝のリスクを高める可能性があります。脂肪肝は肝臓の機能を低下させ、さらなる肝障害を引き起こす原因となることがあります。

フィナステリドで肝臓に副作用が出たらどうなる？

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、フィナステリドによって肝臓に障害が出たとしても自覚症状が出にくいです。自覚症状が出た時にはすでに障害が進行してしまっている可能性が高いことに注意が必要です。

肝機能障害の症状としては、疲れやすさや倦怠感、黄疸（皮膚や目の白い部分が黄色くなる）などがあります。また、胃腸の不調として吐き気や嘔吐、食欲不振も見られることがあります。これらの症状が現れた場合、ただちに医師に相談することが重要です。

さらに、血液検査で肝機能を示す数値（例えば、ASTやALT、ビリルビンなど）が異常に上昇することがあります。これらの数値の上昇は、肝臓の炎症や損傷を示すものであり、早期に発見されることで重篤な状態を防ぐことができます。肝臓が正常に機能しないと、体内の毒素の排出がうまく行われず、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

肝機能障害を長期間放置して悪化してしまった場合、最悪のケースでは慢性肝炎や肝硬変、肝不全、肝臓がんなどを発症する可能性がありますので、肝機能障害が発生したら早期の対応が必要です。

肝臓に副作用を生じる頻度

肝機能障害は、フィナステリドの服用によって肝臓がダメージを受けている状態を指しますが、その頻度は比較的低いとされています。臨床試験や市販後のデータによれば、フィナステリドによる肝機能障害の発生率は1%未満と報告されています。多くの患者は問題なくフィナステリドを使用できることを示しています。

しかし、フィナステリドの使用中に肝機能障害が発生するリスクを完全に無視することはできません。特に、既に肝疾患を持っている患者や他の薬剤と併用している場合には、リスクが増大する可能性があります。以下に述べるような方は肝臓への副作用のリスクが高いため、特に注意が必要です。

肝機能障害の注意が必要な人

肝機能障害の注意が必要な人は、特に以下のような方々です。まず、既に肝臓に何かしらの疾患や障害を抱えている人です。例えば、肝炎や肝硬変、脂肪肝などの診断を受けている場合、フィナステリドの使用によって症状が悪化するリスクが高まります。これらの既往歴がある場合は、必ず医師と相談し、慎重に使用を検討する必要があります。

次に、定期的にアルコールを摂取する人も注意が必要です。アルコールは肝臓に負担をかけるため、フィナステリドとの併用によって肝機能がさらに低下する可能性があります。アルコールの摂取を控えるか、少なくとも使用期間中は飲酒を控えることが望ましいです。

さらに、他の薬剤を長期間使用している人も注意が必要です。特に肝臓で代謝される薬剤を多く使用している場合、フィナステリドと併用することで肝臓に過剰な負担がかかる可能性があります。医師に現在使用しているすべての薬を報告し、相互作用のリスクを確認することが重要です。

また、年齢が高い方や体力が低下している方も、肝機能が低下しやすい傾向があります。このような人々は、肝臓への負担を最小限に抑えるために、フィナステリドの使用を慎重に検討する必要があります。

肝機能障害の対策

定期的な血液検査で肝機能をチェックすることが推奨されます。フィナステリドの使用を開始する前や、開始後に定期的な血液検査を受けることで、早期に異常を発見しやすくなります。具体的には、ALT（アラニンアミノトランスフェラーゼ）やAST（アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ）といった肝機能を示す数値をチェックすることが重要です。もし肝機能の異常が認められたら、フィナステリドを中止することも検討が必要です。

次に、アルコールの摂取を控えることも効果的です。アルコールは肝臓に大きな負担をかけるため、フィナステリドを使用している間は飲酒を控えるか、摂取量を減らすことが望ましいです。また、健康的な食生活を心がけることも重要です。

さらに、適度な運動を取り入れることで、全身の血流を良くし、肝臓の機能をサポートすることができます。特に有酸素運動は肝臓に良い影響を与えるとされています。ただし、過度な運動は逆効果になることがあるため、適度な運動を心がけることが大切です。

また、フィナステリド以外の薬やサプリメントの使用にも注意が必要です。特に肝臓に負担をかける可能性のある薬剤やサプリメントは避けるべきです。新しい薬やサプリメントを取り入れる際には、必ず医師に相談することが重要です。

フィナステリド以外のAGA治療

AGA（男性型脱毛症）の治療には、フィナステリド以外にも多くの方法が存在します。代表的なものとしては、ミノキシジルと低出力レーザー治療が挙げられます。肝臓の副作用が心配な方はこれらの治療を検討してもいいかもしれません。

ミノキシジル

ミノキシジルは、AGA（男性型脱毛症）治療においてフィナステリドと並び非常にポピュラーな薬剤です。ミノキシジルは、元々は高血圧治療薬として開発されましたが、その副作用として髪の毛の成長を促進する効果が見られたため、現在では外用薬（塗り薬）として広く使用されています。ミノキシジルは内服薬（飲み薬）として処方されることもありますが、内服薬の場合はフィナステリド同様に肝臓への副作用が生じる可能性があるため、肝臓への負担を減らしたい場合は塗るタイプの外用薬の方が望ましいでしょう。

ミノキシジルの主な作用機序は、毛包の血流を改善し、毛母細胞の増殖を促進することです。これにより、休止期にある毛包が成長期に移行しやすくなり、髪の毛の成長が促されます。

副作用としては、頭皮のかぶれやかゆみ、赤みなどの皮膚トラブルが挙げられます。稀に全身性の副作用として、めまいや動悸、体重増加などが報告されています。

ミノキシジルは、フィナステリドとは異なり女性にも使用が認められている薬剤です。ただし、妊娠中や授乳中の女性は使用できません。また、心臓病や高血圧の既往がある人は、使用前に医師と相談することが必要です。

低出力レーザー治療

低出力レーザー治療（Low-Level Laser Therapy: LLLT）は、近年注目されているAGA（男性型脱毛症）の治療法の一つです。この治療法は、赤色の低出力レーザー光を頭皮に照射することで、毛母細胞の活性化と血行促進が期待されます。具体的には、レーザー光が毛根にある細胞のミトコンドリアに作用し、ATP（アデノシン三リン酸）の生成を促進します。ATPは細胞のエネルギー源であり、これにより細胞の代謝が活発になり、毛髪の成長が促されます。

LLLTの大きなメリットは、副作用がほとんどないことです。フィナステリドやミノキシジルと異なり、内服薬や外用薬のような全身への影響が少なく、局所的に治療を行えるため、肝臓や心血管系への負担が少ないのが特徴です。また、治療中の痛みや不快感もほとんどありません。

まとめ

この記事では、フィナステリドによる肝臓への副作用について詳しく解説し、それに加えてフィナステリド以外のAGA治療法についても紹介しました。まずフィナステリドの副作用として、肝臓に負担をかける可能性があることが指摘されており、これが発生する理由や頻度、対策方法、注意が必要な人について詳細に説明しました。フィナステリドによる肝臓への影響を理解し、そのリスクを管理することが重要です。

ナチュラルAGAクリニックではフィナステリドなどの飲み薬を使わずに、肝臓への副作用の少ないAGA治療を行っています。ぜひお気軽に無料カウンセリングにてご相談ください。