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    AGAコラム

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    【医師監修】ミノキシジルタブレット(ミノタブ)の危険性を徹底解説

    ミノキシジルタブレットの危険性

    記事更新日:2024.09.26

    ミノキシジルタブレット(ミノタブ)は、主に男性型脱毛症(AGA)の治療に用いられる内服薬ですが、その使用には危険性が指摘されています。日本皮膚科学会ガイドラインでも、ミノキシジルタブレットの使用についてはD評価「行うべきではない」という注意喚起がされており、特にその安全性に関するデータが不足していることが指摘されています。事実、ミノキシジルタブレットは、世界中のどの国においても正式に医薬品として承認されていないため、その危険性が広く認識されています。

    この記事ではミノキシジルタブレットの危険性と、なぜ危険なのか、そしてそれでもなぜ処方するクリニックが後を絶たないのかについて詳しく解説します。

    監修医情報

    新行内 出

    ナチュラルAGAクリニック 院長 新行内 出

    経歴

    2013年3月 千葉大学医学部卒業
    2013年4月 がん研有明病院勤務
    2014年4月 東京大学医学部付属病院勤務
    2015年4月 大手AGAクリニックA勤務
    2017年6月 大手AGAクリニックB勤務
    2021年5月 ナチュラルAGAクリニック開院

    資格・所属

    • 日本美容皮膚科学会 正会員
    • 日本抗加齢医学会 正会員

    ミノキシジルタブレットの危険性について

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    日本皮膚科学会ガイドラインでの評価

    日本皮膚科学会は、ミノキシジルタブレットの使用に関して危険性を指摘しています。同学会は、ミノキシジルを外用薬(塗り薬)としての使用は推奨していますが、内服薬(飲み薬)としての使用に対してはその効果と安全性が十分に確認されていないと指摘しています。

    以下、ガイドラインの記載を抜粋します。

    ミノキシジルの内服は有用か?

    推奨度:D

    推薦文:ミノキシジルの内服を行うべきではない

    解説:ミノキシジル内服の有用性に関して臨床試験は実施されていない。ミノキシジルは降圧剤として開発されたが本邦では認可されていない。また、男性型脱毛症に対する治療薬としても認可されている国はない。それにもかかわらず、全身の多毛症を起こす副作用があることを根拠に、医師が安易に処方したり、一般人が個人輸入で入手し服用することがあるので、医薬品医療機器法の観点から問題視されている。 〜中略〜 以上のように、ミノキシジルの内服療法は、利益と危険性が十分に検証されていないため、男性型脱毛症・女性型脱毛症ともに行わないよう強く勧められる

    以上のように、日本皮膚科学会のガイドラインは、ミノキシジルタブレットの使用に対して警戒を呼びかけており、使用しないように強く呼びかけています。これは、患者が不必要なリスクを負うことなく、適切な治療を受けるための重要な指針となっています。

    ミノキシジルタブレットがAGAに対して承認されている国は一カ国もない

    ミノキシジルタブレットは、その効果や使用に関する議論が続いている中で、世界中のどの国の規制当局からも正式な承認を受けていない状況です。これは非常に重要なポイントであり、使用を検討する際には慎重に考えるべき理由の一つです。たとえば、日本、アメリカ、ヨーロッパの主要な医薬品規制当局である厚生労働省FDA(米食品医薬品局)EMA(欧州医薬品庁)も、ミノキシジルタブレットのAGAに対する承認を見送っています。これらの機関は、医薬品の有効性と安全性・危険性を厳しく評価するため、承認がないということは、科学的根拠が不十分であるか、または安全性・危険性に懸念があることを示唆します。

    また、ミノキシジルタブレットは、医薬品としての規制が厳格な国々においても市場に出回っていないため、入手方法が限られており、インターネットや非正規ルートでの購入が主流となっています。これにより、品質や成分に対する信頼性が低く、偽造品や不純物を含む製品が出回るリスクも増加します。

    このように、ミノキシジルタブレットが一カ国も承認されていないという事実は、その使用に対する慎重な姿勢を促す重要な要素です。承認されていない背景には、科学的な検証不足や安全性に対する懸念があるということです。

    ミノキシジルタブレットが危険である理由

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    ミノキシジルタブレットが危険とされる理由は、いくつかの深刻な副作用とその使用に関する国際的な規制の欠如に起因します。ミノキシジルは元々高血圧治療薬として開発されましたが、頭皮への外用(塗り薬)として使用されることで発毛効果が発見されました。しかし、タブレット形態での内服は、体全体に影響を及ぼすため、特に心臓への負担が懸念されています。

    ミノキシジルタブレットは深刻な心疾患を起こす危険性がある

    ミノキシジルタブレットが深刻な心疾患を引き起こす危険性は、非常に重要な問題として指摘されています。まず、ミノキシジルは本来、高血圧の治療薬として開発されました。この薬剤は血管を拡張する効果があり、血圧を低下させるために開発されていました。しかし、その血管拡張作用が頭皮の血流を改善し、発毛効果があることが発見され、AGA(男性型脱毛症)の治療にも使用されるようになりました。

    ミノキシジルの内服薬であるミノキシジルタブレットは、外用薬に比べて全身に作用が及ぶため、特に心臓への負担が大きくなります。具体的には、心拍数の増加心臓の過負荷を引き起こす可能性があります。これにより、不整脈心筋梗塞、さらには心不全といった深刻な心疾患のリスクが高まることが報告されています。

    さらに、ミノキシジルタブレットの使用は、特に既に心血管系の疾患を持つ人々にとって非常に危険です。これらの人々は、ミノキシジルタブレットの服用により心臓への負担がさらに増加し、症状が悪化する可能性があります。特に高齢者や既往歴のある患者には、慎重な検討が求められます。

    また、ミノキシジルタブレットの副作用として、血圧の急激な低下浮腫(体液の貯留)も報告されています。これらの症状は心臓に過剰なストレスを与え、結果的に心疾患のリスクを高める要因となります。血圧の急激な変動は、特に心疾患のリスクが高い人々にとって非常に危険です。

    Lonitenの添付文書での注意喚起

    Lonitenとは、アメリカで高血圧治療薬として承認されているミノキシジルの飲み薬の名称です。高血圧薬として承認されているものの、その添付文書には多くの注意喚起が記載されており、その使用には強い制限を設けています。

    ・Lonitenは心タンポナーデなどの心臓に深刻な副作用を起こす可能性があるため、その他の降圧薬と利尿薬を使用して十分な降圧効果が得られない場合に限って使用されるべきである。

    ・動物実験では、ミノキシジルが複数の心疾患を引き起こした。

    ・Lonitenを使用する際は、心臓への負担を防ぐためにベータ遮断薬と併用し、重度の液体貯留(浮腫)を防ぐために利尿剤と併用するべきである。

    以下、Lonitenに記載されている注意喚起の日本語訳です。

    Loniten錠は、強力な降圧剤であるミノキシジルを含んでおり、深刻な副作用を引き起こす可能性があります。心嚢液貯留を引き起こし、時には心タンポナーデに進行することがあります。また、狭心症が悪化することもあります。Lonitenは、利尿剤と他の2つの降圧剤の最大治療用量に十分に反応しない高血圧患者に限って使用されるべきです。

    実験動物では、ミノキシジルがいくつかの種類の心筋病変および他の心臓に関する副作用を引き起こしました(動物における心筋病変を参照)。

    Lonitenは、通常、心拍数増加および心筋負荷の増加を防ぐために、ベータ遮断薬の治療用量と併用して厳重な監視下で投与される必要があります。また、重度の液体貯留を防ぐために、通常、ヘンレループの上行脚で作用する利尿剤と併用される必要があります。悪性高血圧の患者や既にグアネチジンを投与されている患者は、Lonitenを最初に投与する際に入院して、急激または大規模な起立性低血圧の減少を避けるために監視されるべきです。

    また、妊娠中や授乳中の女性は使用すべきでありません。ミノキシジルは胎盤を通過する可能性があり、胎児に対する影響が完全には明らかになっていないため、妊娠中の使用は避けるべきです。また、授乳中の母親がミノキシジルを使用する場合、母乳を通じて乳児に影響を与える可能性があるため、使用すべきではありません。

    なぜミノキシジルタブレットは多くの医院で処方されているのか?

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    このように危険性が注意喚起されているミノキシジルタブレットですが、なぜ日本では多くのAGA専門クリニックで処方されているのでしょうか?実際にAGA治療の専門クリニックでミノキシジルタブレットを処方され、現在も内服している方も少なからずいらっしゃると思います。日本でミノキシジルタブレットがこれほどに普通に処方されているのにはいくつかの理由があります。

    自由診療で商業的理由が優先されている可能性

    ミノキシジルタブレットが多くの医院で処方されている背景には、自由診療の特性が大きく影響している可能性があります。自由診療とは、保険適用外の医療サービスを指し、患者が全額自己負担で治療を受ける形式です。この形式では、医院が提供する治療の価格や内容を自由に設定できるため、商業的な利益が優先されることが少なくありません。

    ミノキシジルタブレットは国内で承認されていないので、国内で処方されているものは全て輸入品です。台湾やインド、タイで生産されているものが多く、いずれも非常に安価で入手可能です。クリニック側からすると原価が安く抑えられるというのは大きな理由の一つだと思います。

    また、ミノキシジル外用薬はドラッグストアなどでも購入可能であるため、外用薬はクリニックでの差別化が難しい点も、多くのクリニックが外用薬ではなくミノキシジルタブレットを全面的に処方している理由であると思われます。

    さらに、外用薬と比較してミノキシジルタブレットは飲むだけなので楽と感じる方も多いため、継続率が高いという点で処方するクリニック側にメリットがあると思われます。

    上記のような商業的な理由でミノキシジル内服薬を積極的に取り入れるクリニックが少なくないと考えられます。

    みんな飲んでいるから大丈夫と考える人がいる

    ミノキシジルタブレットを使っている人が増えていることから、「みんな飲んでいるから大丈夫だろう」と考える方も多いかもしれません。しかし、このような考え方には大きな危険性が潜んでいます。まず、ミノキシジルタブレットは日本を含む多くの国でAGA治療薬として正式に承認されていない薬です。処方されているからといって、その安全性が保証されているわけではありません

    AGA治療は、1年間で髪が生えてきて終了というわけではなく、長期的に使い続けなければいけないものです。長期的にミノキシジルタブレットを服用した時に身体にどのような危険性があるかは現段階で誰もわからないわけです。特に心臓に影響を及ぼす可能性があり、Lonitenの添付文書でも、この薬が心疾患を引き起こす危険性について警告しています。

    処方した時には解明されていなかったものの、後になって重篤な副作用が判明し社会問題化するものを薬害と言います。過去、日本でも多くの薬害が発生していますが、ミノキシジルタブレットが後に大きな問題にならないとは誰も断言できません。「みんなが飲んでいるから大丈夫」という安易な考え方は非常に危険です

    ミノキシジル外用薬と同様に効果が期待されている

    とはいえ、ミノキシジルタブレットは、ミノキシジル外用薬と同じ有効成分を含むため、AGAに対して同様の効果が期待できる可能性があります。外用薬としてのミノキシジルは、薄毛治療において広く使用されており、その効果が科学的に証明されています。これに対して、タブレット型のミノキシジルは経口摂取することで、全身に成分が行き渡りより広範な効果が期待できるという見解があります。

    しかし、ミノキシジルタブレットの効果については、まだ十分な研究が行われておらず、その効果の確実性や安全性については議論の余地があります。ある研究では5mgのミノキシジル内服薬と5%ミノキシジル外用薬の効果を比較し、内服薬の方が頭頂部でわずかに効果的であったが、有意な差ではなかったという結果が報告されています。その他に、ミノキシジルタブレットと外用薬を直接効果比較した研究は少なく、現時点でどちらが効果的かという結論は出ていません

    外用薬と同様に効果が出るのであれば、より安価に輸入でき、患者も続けやすい内服薬を採用したいというクリニック側の論理は理解できますが、安全性が十分に検証されていない現時点でこれほどまでに安易に処方されてしまっているのは危険性をはらんでいると言わざるを得ないでしょう。

    ミノキシジルタブレットの今後

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    ミノキシジルタブレットに関する医学研究が進んできている

    ミノキシジルタブレットは、AGA治療における有力な選択肢の一つとして注目されてきましたが、その効果と安全性・危険性に関する議論は続いています

    一部の研究では、ミノキシジルタブレットの有効性が確認されており、AGAに対する効果が期待されています。ただし、その一方で、心血管系への影響や他の副作用についても慎重に検討されており、安全性の確保が重要な課題となっています。これにより、ミノキシジルの使用に対する新たなガイドラインや規制が導入される可能性があります。

    また、ミノキシジルタブレットの投与量や投与方法についても研究が進んでおり、個々の患者に最適な治療法を見つけるためのデータが蓄積されています。このような研究成果は、AGA治療における個別化医療の実現に向けた重要なステップとなるでしょう。

    したがって、ミノキシジルタブレットの今後については、医学研究の進展によりその効果と安全性がさらに明確にされ、患者にとってより有益な治療法として確立されることが期待されています。

    その他、ミノキシジルの副作用についてはこちらの記事も参照ください。

    ミノキシジルタブレット以外のAGA治療

    ミノキシジルタブレット以外にも、AGA(男性型脱毛症)の治療法は多岐にわたっています。まず、フィナステリドデュタステリドといった内服薬が挙げられます。これらの薬は、5αリダクターゼという酵素を阻害し、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制することで脱毛を防ぎます。日本皮膚科学会のガイドラインでも高い評価を受けており、臨床試験においても効果が確認されています。

    次に、外用薬としてのミノキシジルがあります。これは頭皮に直接塗布することで血行を促進し、毛根に栄養を届けることが期待されます。外用ミノキシジルは、内服のミノキシジルタブレットと比較して、副作用のリスクが低いとされています。

    さらに、AGA治療には低出力レーザー治療も存在します。低出力レーザーを用いて頭皮の血流を改善し、毛母細胞の活性化を促す方法です。レーザー治療は比較的新しい技術であり、まだ知名度のあまり高くない治療ですが、近年注目を集めています。

    他にも、植毛手術という選択肢があります。これは自分の後頭部や側頭部の健康な毛根を薄毛の部分に移植する方法で、結果が目に見える形で得られるため、多くの患者に支持されています。ただし、手術にはリスクやダウンタイムが伴うため、慎重な検討が必要です。

    最後に、生活習慣の改善もAGA治療において無視できない要素です。バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などが総合的に髪の健康に寄与します。

    このように、ミノキシジルタブレット以外にも多様な治療法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分に最適な治療法を見つけるためには、専門医と相談し、しっかりとリサーチを行うことが重要です。

    ナチュラルAGAクリニックでは、飲み薬を使わず副作用の心配の少ないAGA治療を行っています。ミノキシジルの副作用が心配な方はぜひ当院にご相談ください。

    まとめ

    この記事では、ミノキシジルタブレットの危険性その理由について多角的に検討しました。まず、日本皮膚科学会ガイドラインでの評価や、ミノキシジルタブレットがAGA治療として承認されている国が一カ国もない現状について触れました。次に、ミノキシジルタブレットが心疾患を引き起こす可能性や、Lonitenの添付文書での注意喚起など、具体的なリスクについて詳述しました。また、自由診療の商業的理由が優先されている危険性や「みんなが飲んでいるから大丈夫」と考える風潮についても考察しました。さらに、ミノキシジルタブレットに関する医学研究の進展状況についても紹介し、将来的な展望を示しました。

    そして、ミノキシジルタブレット以外のAGA治療法についても触れ、選択肢を広げるための情報を提供しました。これにより、読者が自身の健康と安全を第一に考えた上で、最適な治療法を選択する手助けとなることを願っています。ナチュラルAGAクリニックでは、薬を使わないAGA治療を行っています。ミノキシジルタブレットの副作用が心配な方はぜひ当院へご相談ください。

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