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    【医師監修】デュタステリドで性欲は低下する?副作用の頻度・メカニズム・対処法を解説

    記事更新日:2026.04.24

    デュタステリド(ザガーロ)はAGA(男性型脱毛症)治療に高い効果を発揮する薬です。しかし「性欲が低下するのでは?」という不安を抱える方は少なくありません。

    結論から言えば、デュタステリドによる性欲減退(リビドー低下)は添付文書上は3.9%の発生確率とされていますが、使用者の73.3%が何らかの性欲変化を感じたというデータもあります。さらに半減期が約5週間と長く、副作用が出た場合に回復まで時間がかかる点も見逃せません。服用を検討する際は、メカニズムやリスク、対処法を事前に把握しておくことが重要です。

    デュタステリドの副作用全般については「デュタステリドの効果と副作用」で詳しく解説しています。この記事では性欲低下の関係に絞り、研究データに基づいて頻度・メカニズム・対処法を解説します。

    監修医情報

    新行内 出

    ナチュラルAGAクリニック 院長 新行内 出

    経歴

    2013年3月 千葉大学医学部卒業
    2013年4月 がん研有明病院勤務
    2014年4月 東京大学医学部付属病院勤務
    2015年4月 大手AGAクリニックA勤務
    2017年6月 大手AGAクリニックB勤務
    2021年5月 ナチュラルAGAクリニック開院

    資格・所属

    • 日本美容皮膚科学会 正会員
    • 日本抗加齢医学会 正会員

    デュタステリドとは?AGA治療での役割と基本情報

    デュタステリド(ザガーロ)の作用メカニズム

    デュタステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として開発された薬です。現在ではAGA治療薬としても広く使われており、商品名「ザガーロ」として知られています。

    AGA(男性型脱毛症)の原因は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)です。テストステロンが5αリダクターゼという酵素によってDHTに変換されます。このDHTが毛根に作用することで薄毛・抜け毛が進行し、脱毛が起こります。

    デュタステリドは5αリダクターゼを阻害してDHTの産生を抑える薬です。これによりAGAの進行を止め、発毛を促します。

    フィナステリド(プロペシア)との違い

    AGA治療薬として先に登場したフィナステリド(プロペシア)は、5αリダクターゼの2型のみを阻害します。一方、デュタステリドは1型と2型の両方を阻害するため、DHTの産生をより強力に抑えます。

    フィナステリド1mgとデュタステリド0.5mgを比較した研究では、後者の方がAGAに対してやや高い効果を示しています。国内臨床試験では有効率は約80%と報告されています。

    ただし、効果が強い分、副作用も強く出る可能性があります。そのため治療の初期段階ではまずフィナステリドから開始し、効果が不十分な場合にザガーロへ切り替えるパターンが多いです。

    フィナステリドとデュタステリドの比較

    項目 フィナステリド(プロペシア) デュタステリド(ザガーロ)
    5αリダクターゼ阻害 2型のみ 1型+2型
    通常用量 1mg 0.5mg
    半減期 6〜8時間 約5週間
    性欲減退の発生率 1〜5% 3.9%
    ED(勃起不全)の発生率 1%未満 4.3%
    AGAガイドライン推奨度 A A

    デュタステリドの性欲への影響|副作用の頻度と実態

    添付文書に記載された副作用発生率

    国内臨床試験(557例)では、以下の性機能に関する副作用が報告されています。

    • 勃起不全(ED):24例(4.3%
    • リビドー(性欲)減退:22例(3.9%
    • 精液量減少:7例(1.3%)
    • 射精障害:報告あり

    添付文書上の発生率は数%にとどまりますが、後述する大規模調査では異なる数値も報告されています。性的副作用の多くは服用開始から3ヶ月以内に出現し、継続服用中に軽減するケースもある一方、長期間持続する例も報告されています。各副作用の発生確率について詳しくは「デュタステリドの副作用の確率」も参照してください。

    大規模調査から見る実態

    一方で、添付文書の数字と実態には乖離がある可能性も指摘されています。

    4年間にわたるREDUCE試験(6,729名が参加)の結果を見てみます。本剤の服用群ではED 9.0%(プラセボ群=偽薬を飲んだグループ 5.7%)、性欲低下3.3%(プラセボ群1.6%)が報告されました。

    さらに注目すべきは日本国内の調査です。2,538名以上が回答したこの調査は自己申告による主観的な評価であり、加齢・ストレス・心理的な先入観など薬以外の要因も含まれていますが、フィナステリド服用者の64.4%、ザガーロ服用者の73.3%が何らかの性欲変化を感じたと回答しています。臨床試験のデータとは大きく異なるため、この数字だけで判断しないことが重要です。

    フィナステリドとの副作用比較

    「ザガーロの方がフィナステリドより副作用が強い」というイメージがあります。5年間の追跡調査(378名)では、治療中断に至った性的副作用の頻度は本剤の方がやや高いという報告があります(ED:5.1% vs フィナステリド2.1%)。

    一方、両薬を直接比較した別の試験(576名)では、性欲低下・勃起不全・射精障害のいずれにおいても統計的な差は認められていません。

    現時点では「大きな差ではないものの、デュタステリドの方が若干リスクは高い可能性がある」というのが研究データから導かれる結論です。

    なぜ性欲が低下するのか?副作用のメカニズム

    DHT低下と男性機能の関係

    性的副作用が起こるメカニズムは、DHT(ジヒドロテストステロン)の低下そのものに起因します。

    DHTは薄毛の原因となる一方で、男性の性機能にも関与しています。具体的には以下の経路で影響が出ます。

    • 勃起機能への影響:DHTは陰茎の海綿体で一酸化窒素合成酵素(NOS=血管を広げる物質を作る酵素)の発現を促進しています。DHT低下によりNOSの働きが弱まると、血流が十分に確保できず勃起不全が起こる可能性があります
    • 性欲への影響:5αリダクターゼはテストステロンだけでなく、脳内の神経ステロイド合成にも関与しています。この経路が阻害されると、リビドーの減退や精神面の変化が生じる可能性があります
    • 生殖機能への影響:DHTは前立腺や精嚢の機能維持に関わります。そのため精液量の減少や射精障害が起こることがあります

    また、男性ホルモンが抑えられることで女性ホルモンが相対的に優位になります。その結果、まれに乳房の腫れや痛み(女性化乳房)が報告されています。動物実験では、陰茎海綿体の縮小や組織変化が確認された報告もあります。

    半減期が長いことの意味

    デュタステリドの半減期は約5週間です。フィナステリドの6〜8時間と比べて圧倒的に長いのが特徴です。半減期とは、薬の血中濃度が半分になるまでの時間を指します。

    本剤は血液中に残るだけでなく、体内の脂肪組織にも蓄積します。そのため服用を中止しても、完全に薬が抜けるまでに数ヶ月かかります。

    この長い半減期は、効果が安定しやすいというメリットがあります。しかし副作用が出た場合は症状が長引く可能性があるというデメリットにもなります。

    性欲低下が起きた場合の対処法

    服用の中止と回復までの期間

    性欲減退やEDの症状は、多くの場合、服用を中止すれば回復します。117名の経過を追った前向き研究でも、治療中または治療終了後に全ての性的副作用が消失しています。持続的な性機能障害は確認されていません。

    ただし半減期が長いため、フィナステリドに比べて回復に時間がかかる場合があります。完全に体内から薬が排出されるまで数ヶ月を見込む必要があります。

    なお、ごく一部の報告では注意が必要です。11,909名の調査で約1.4%が、服用中止後90日以上たっても勃起不全が持続していました。ただしこの調査には高齢者や他の疾患を持つ方も含まれており、薬のみが原因とは限りません。気になる症状が続く場合は、自己判断せず泌尿器科やAGA専門クリニックに相談してください。

    フィナステリドへの切り替えやED治療薬の併用

    性的副作用が気になる場合の選択肢として、以下が挙げられます。

    • フィナステリドへの変更:副作用がより軽いフィナステリドに切り替えることで、AGA治療を継続しながら症状の軽減が期待できます。ただし効果もやや弱まる可能性があるため、医師と相談の上で判断してください
    • ED治療薬(バイアグラなど)の併用:勃起不全の症状に対しては、ED治療薬を併用することで対処が可能です。
    • 用量の調整:医師の判断のもと、服用量や服用間隔を調整する方法もあります

    いずれの場合も、自己判断で服用を中止・変更せず、必ず担当の医師に相談してください。副作用の回復について詳しくは「フィナステリドの副作用は治る?」も参考になります。

    内服薬を使わないAGA治療という選択肢

    そもそも性的副作用への不安が強い方には、内服薬を使わないAGA治療という選択肢もあります。

    低出力レーザー治療(LLLT)は、日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインでも推奨されている治療法です。副作用は頭皮のピリピリ感や乾燥など軽微なものに限られます。男性ホルモンに作用しないため、性欲減退やEDのリスクはありません。

    またミノキシジル外用薬(塗り薬)は、内服薬と比べて全身的な副作用が少ない治療法です。低出力レーザー治療と外用薬を組み合わせることで、内服薬なしでも高い効果が期待できます。内服薬以外の治療法について詳しくは「薬に頼らない治療という選択肢」をご覧ください。

    最近ではピリルタミドなどの、男性ホルモンを減らさずにDHTの影響を抑える塗り薬も出現しています。性欲減退などの男性機能の副作用が出にくいと言われています。ピリルタミドについてはこちらの記事も参考にしてください。

    デュタステリド服用時に知っておくべき注意点

    妊活中・パートナーが妊娠中の方への注意

    妊活を予定している方は、本剤の使用に特に注意が必要です。精子数の減少や精液量の低下を引き起こす可能性があり、不妊の原因になりえます。

    さらに半減期が長いため、服用を中止してから精子の機能が回復するまでに相当の期間がかかります。子どもを考えている場合は、事前に医師と相談し計画的に服用を中止する必要があります。

    また妊婦は本剤に触れること自体が禁忌です。皮膚から吸収されて胎児の発育に影響を及ぼす可能性があります。パートナーが妊娠中の場合は薬の取り扱いに十分注意してください。

    献血の制限について

    本剤の服用中および服用中止後6ヶ月間は献血ができません。薬の成分が血液中に残留し、輸血を受けた方(特に妊婦)に影響が出る可能性があるためです。フィナステリドの献血制限期間が1ヶ月であるのに対し、半減期が長い分、制限期間も長くなっています。

    まとめ

    デュタステリドと性欲低下の関係について、主要なポイントを整理します。

    • 性欲減退の発生率は添付文書上3.9%だが、実態調査ではより高い数値も報告されている
    • フィナステリドとの比較では、大きな差ではないが、より性的副作用リスクが高い
    • 副作用のメカニズムはDHT低下による男性機能・神経ステロイドへの影響
    • 半減期が約5週間と長く、副作用が出た場合も回復に時間がかかる可能性がある
    • 多くの場合、服用中止により副作用は回復する
    • 妊活中の方は特に慎重な対応が必要
    • 性的副作用が不安な方には、低出力レーザー治療など内服薬を使わない治療法もある

    AGA治療は薬の効果と副作用のバランスを考えた上で、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。性欲低下やEDへの不安がある方は、治療を開始する前に以下の点を医師に確認しておくと安心です。

    • 自分の症状の進行度に対して本剤が必要か、フィナステリドでも十分か
    • 副作用が出た場合の具体的な対処法と切り替え先
    • 妊活の予定がある場合の服用中止のタイミング
    • 内服薬以外の治療法(低出力レーザーなど)の選択肢

    ナチュラルAGAクリニックでは、副作用のリスクを踏まえた治療プランの提案や、内服薬を使わない治療法にも対応しています。オンラインで全国から相談が可能ですのでお気軽にご相談ください。

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    参考文献

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