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    フィナステリドで性欲低下・EDは起こる?発生率・メカニズム・対処法を医師が解説

    記事更新日:2026.04.24

    フィナステリド(プロペシア)は、AGA(男性型脱毛症)治療で最も広く処方されている内服薬です。しかし、性欲低下やED(勃起不全)といった性機能の副作用が報告されており、服用に不安を感じる方も少なくありません。

    結論として、フィナステリドの性機能副作用は「まれだから安心」とは言い切れません。臨床研究での発生率は数%程度ですが、実際の臨床現場では64.4%に性欲減退が発生したと報告されているデータもあります。この記事では、フィナステリド(プロペシア)が性欲や性機能に与える影響について、発生頻度・メカニズム・対処法を最新の研究データに基づいて解説します。AGA治療薬の副作用が本当にやばいのか、冷静に判断するための情報を提供します。

    監修医情報

    新行内 出

    ナチュラルAGAクリニック 院長 新行内 出

    経歴

    2013年3月 千葉大学医学部卒業
    2013年4月 がん研有明病院勤務
    2014年4月 東京大学医学部付属病院勤務
    2015年4月 大手AGAクリニックA勤務
    2017年6月 大手AGAクリニックB勤務
    2021年5月 ナチュラルAGAクリニック開院

    資格・所属

    • 日本美容皮膚科学会 正会員
    • 日本抗加齢医学会 正会員

    フィナステリドで性欲低下やEDは本当に起こるのか

    性欲低下が起こる確率

    「フィナステリドを使用すると性欲がなくなる」「プロペシアでEDになった人がいる」といった話を聞いたことがある方も多いでしょう。実際のところ、フィナステリド(プロペシア)の添付文書には、性機能に関する副作用として以下の症状が記載されています。

    副作用の症状 発生頻度
    リビドー減退(性欲低下) 1〜5%未満
    勃起機能不全(ED) 1%未満
    射精障害 1%未満
    精液量減少 頻度不明

    添付文書上の数字だけを見ると「まれな副作用」に見えます。しかし大きく異なる報告もあります。

    日本国内の2,538名以上を対象としたインターネット調査(2024年)では、フィナステリド服用者の64.4%が何らかの性欲変化を感じたと回答しています。デュタステリド(ザガーロ)服用者では73.3%とさらに高い数値です。この調査は自己申告による主観的な評価であり、加齢・ストレス・心理的な先入観など薬以外の要因も含まれているため、臨床試験のデータとは性質が異なります。しかし、添付文書の「1〜5%未満」という数字と実際に服用している人の体感には大きな開きがある可能性を示唆するデータです。

    臨床試験は限られた人数・期間で実施されており、長期服用での実際の発生頻度を完全に反映しているとは限りません。フィナステリド(プロペシア)の服用を始める前に、こうしたリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。

    なぜフィナステリドが性機能に影響するのか

    DHT(ジヒドロテストステロン)と男性の性機能の関係

    フィナステリド(プロペシア)の性機能副作用を理解するには、この薬がなぜ薄毛治療に効くのか、そしてなぜ性欲低下が起こるのか、その理由を知る必要があります。

    フィナステリドは5αリダクターゼ(5α還元酵素)という酵素を阻害する薬です。この酵素はテストステロン(男性ホルモン)をDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する働きを持っています。DHTはAGAの大きな原因の一つであるため、フィナステリドでDHTの生成を抑えることが薄毛治療の基本的な方法です。

    しかし、DHTは本来「悪いホルモン」ではありません。DHTは男性の性機能において重要な役割を担っており、性欲の維持や精子の産生に深く関わっています。フィナステリドでDHTを抑えると、AGAの進行は抑制できる一方で、DHTが担っていた性機能関連の作用も低下する可能性があります。

    加えて、男性ホルモンは精神面にも影響を与えます。やる気や気力といった精神的なエネルギーも男性ホルモンに左右されるため、フィナステリドの服用によって気分の落ち込みや不安感が出る場合もあります。性機能の症状だけでなく、こうした精神的な変化にも注意が必要です。薄毛・抜け毛の悩みに加えてうつ症状まで出てしまうと、AGA治療を続けること自体が困難になります。フィナステリド(プロペシア)を飲み始めてから気分の変化を感じた場合は、性機能障害と同様に医師への相談が必要です。

    デュタステリド(ザガーロ)との副作用リスクの違い

    AGA治療薬にはフィナステリドのほかにデュタステリド(ザガーロ)があります。両者の性欲への影響が異なる理由は、阻害する酵素の範囲の違いにあります。

    項目 フィナステリド(プロペシア) デュタステリド(ザガーロ)
    阻害する酵素 5αリダクターゼ2型のみ 1型・2型の両方
    DHT抑制力 約70% 約90%以上
    性欲低下のリスク やや低い やや高い
    EDのリスク やや低い やや高い

    デュタステリドは1型と2型の両方を阻害するため、DHTの抑制力がフィナステリドよりも強力です。AGA治療の効果は高い一方で、性機能への影響もフィナステリドより大きくなる可能性があります。

    AGA治療では、副作用リスクを考慮してまずフィナステリドから使い始めるのが一般的です。デュタステリドを使用する理由は薄毛の進行度や治療の経過によって異なります。デュタステリド(ザガーロ)への切り替えを検討する場合は、性欲低下やEDのリスクがさらに高まる可能性を理解した上で、AGA治療に詳しい医師と相談しながら判断する必要があります。「プロペシアで効果が不十分だからザガーロに変えたい」と考える人もいますが、性機能障害のリスクとAGA治療の効果のバランスを慎重に検討すべきです。

    ノセボ効果と性機能副作用の関係

    「副作用がある」と聞かされるだけで報告率が変わる

    フィナステリドの性機能副作用を考える上で、ノセボ効果の存在は無視できません。ノセボ効果とは、薬の副作用について事前説明を受けることで、実際には薬理作用によらない症状を感じてしまう現象です。

    107名を対象とした臨床研究では、全員に同じフィナステリド(5mg)を投与しつつ、半数には「性的副作用が起こる可能性がある」と説明し、残り半数にはその説明をしませんでした。

    グループ 性的副作用の報告率 ED報告率 性欲低下報告率
    副作用について説明あり 43.6% 30.9% 23.6%
    副作用について説明なし 15.3% 9.6% 7.7%

    副作用の説明を受けたグループでは、報告率が約3倍に上昇しています。ノセボ効果がフィナステリドの副作用報告に大きく影響していることは明らかです。

    ただし、この結果を「だから副作用は気のせい」と解釈するのは適切ではありません。注目すべきは、副作用の説明を受けなかったグループでも15.3%が性的副作用を報告している点です。この研究はフィナステリド5mg(AGA治療で使う1mgの5倍量)を使用しているため、AGA用量での発生率はこれより低いと考えられますが、副作用が一定の確率で存在することは否定できません。

    フィナステリドの性機能副作用には、ノセボ効果による心理的な要因と、薬の作用による薬理学的な要因の両方が関わっています。インターネット上の情報に過度に影響されることは避けつつも、リスクそのものを軽視しない姿勢が大切です。

    ポストフィナステリド症候群(PFS)の現状と最新研究

    フィナステリドの副作用に関して近年注目されているのが、ポストフィナステリド症候群(PFS)です。PFSとは、フィナステリドの服用を中止した後も、性欲低下・ED・うつ症状などが長期間にわたって持続する状態を指します。

    11,909名の電子カルテデータを分析した2017年の研究では、フィナステリド使用者のうち1.4%が持続性のED(中止後90日以上継続)を発症しました。16〜42歳の若年男性でフィナステリド1.25mg以下を服用していた群に限ると0.8%です。この研究では205日(約7ヶ月)以上の長期服用がリスク因子として特定されており、前立腺疾患のない若年男性でもリスクは存在します。発症率自体は低いものの、発症した場合の持続期間の中央値は約3.7年と報告されており、影響は長期に及ぶ可能性があります。

    また、約7ヶ月以上の長期服用でリスクが上昇するというデータもあります。PFSが独立した疾患として存在するかどうかは医学界でも議論が続いており、結論は出ていません。しかし、一部の人において服用中止後も症状が持続するケースが報告されているのは事実です。

    服用中に性欲の低下やEDの症状を感じた場合は、自己判断で服用を継続せず、速やかに医師に相談することが重要です。特に性欲低下と勃起不全が同時に起こる場合や、精液の減少が見られる場合は注意が必要です。PFSはまだ完全に解明されていない領域であり、「本当にやばいのか」「治るのか」といった疑問に対して、現時点の研究だけでは明確な回答が出ていません。だからこそ、初期の段階で異変に気づき、早めに対処することが大切です。

    性機能副作用が出た場合の対処法

    フィナステリドを服用中止・減量する

    フィナステリドの性機能副作用は、多くの場合、服用を中止すれば数週間〜数ヶ月で回復します。また、服用を継続していても時間の経過とともに症状が改善するケースもあり、2017年の大規模分析では追跡期間が長くなるほど副作用の報告率が低下することが示されています。

    ただし、PFSのように中止後も長期間にわたり性欲低下やEDが持続する場合があります。中止しても完全に治るとは限らない点は認識しておくべきです。

    日本ではフィナステリドに1mgのほかに0.2mgの用量もあります。用量を減らすことで副作用リスクを下げられる可能性がありますが、AGA治療の効果とのバランスについてクリニックの医師と相談の上で判断してください。

    なお、個人輸入でフィナステリド(プロペシア)を入手している人もいますが、個人輸入には安全性の面で大きなリスクがあります。個人輸入で入手した薬は品質が保証されない場合があり、副作用が発生しても適切な医療相談を受けにくくなります。AGA治療薬の個人輸入は避け、病院やクリニックで医師の診療を受けた上で処方してもらう方法が安全です。個人輸入で購入した薬による性欲低下やEDの症状が出ても、医療機関での対処が遅れる可能性があります。

    ED治療薬を併用する

    AGA治療を行うクリニックや病院では、フィナステリドの副作用対策としてED治療薬を併用処方する場合があります。代表的なED治療薬としては、シルデナフィル(バイアグラ)やタダラフィル(シアリス)があります。

    ED治療薬は血管を拡張させて勃起をサポートする薬です。「プロペシアを飲んでEDになったらどう対処すればいいのか」と聞く人も多くいますが、フィナステリドとED治療薬の併用自体は可能です。ただし、以下の注意点があります。

    • 血圧低下のリスク:ED治療薬は血圧を下げる作用があり、心臓に持病がある場合は注意が必要です
    • ミノキシジル内服との併用:ミノキシジルも血管拡張作用を持つ薬であり、ED治療薬と同時に服用すると血圧低下や心臓への負担が大きくなる可能性があります。ミノキシジル内服中の方は必ず医師に相談してください
    • 性欲低下には効果がない:ED治療薬は勃起をサポートする薬であり、性欲の低下そのものを改善するわけではありません

    ED治療薬はあくまで対症療法であり、フィナステリドによる性機能副作用の根本的な解決策にはなりません。併用で安全にAGA治療を続けられる場合もありますが、副作用が持続する場合は薬の変更や代替治療も含めて医師に相談することが大切です。

    テストステロンを維持する生活習慣を取り入れる

    フィナステリドは5αリダクターゼを阻害してDHTを減らす薬であり、テストステロンそのものを減少させるわけではありません。むしろ、DHTへの変換が抑制される分、テストステロン値がわずかに上昇するという研究データもあります。

    テストステロンの分泌を高める生活習慣は、性機能の維持に役立つ可能性があります。

    • 適度な筋力トレーニング:短時間で体を動かす運動はテストステロン分泌を促進します
    • バランスの良い食事:タンパク質・ビタミン・ミネラルを偏りなく摂取することが大切です
    • 十分な睡眠:テストステロンは睡眠中に多く分泌されるため、睡眠不足は性欲低下の一因になります

    テストステロンが増えるとAGAが悪化するのではないかと心配する人もいますが、テストステロンの増加がAGAの進行に直結するわけではありません。AGAを引き起こすのはDHTであり、テストステロンがDHTに変換され、さらに毛根のホルモン受容体の感受性が高い人にのみ影響します。適切な生活習慣は、抜け毛を抑える効果も期待でき、体全体の健康にも良い影響を与えます。

    性欲が落ちないAGA治療に変更する

    性機能への影響を避けたい場合、フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)以外のAGA治療法も選択肢になります。薄毛・抜け毛の悩みを抱えている人の中には、性機能障害のリスクを理由にAGA治療を諦めてしまう人もいますが、それは必要ありません。5αリダクターゼ阻害薬以外のAGA治療であれば、性欲低下やEDの副作用は基本的に起こりません。

    治療法 性機能への影響 詳細
    低出力レーザー治療(LLLT) なし AGAガイドラインで推奨。フィナステリドやデュタステリドより効果が高いという報告も。性欲低下・勃起不全の心配がない安全な治療方法。
    ミノキシジル外用薬 なし 初期脱毛・頭皮のかゆみ・赤みなどの副作用はあるが、性機能障害の報告はない
    アデノシン外用薬 なし 日本皮膚科学会ガイドラインで推奨度B。発毛促進因子(FGF-7)の産生を促す

    AGA治療は内服薬だけではありません。副作用のリスクと治療効果のバランスを考え、自分に合った安全な治療方法を選ぶことが大切です。「フィナステリドの副作用がやばいから治療できない」と諦める必要はなく、性欲低下やEDの心配がない治療法は複数あります。DHTを抑える方法以外にも、ミノキシジルや低出力レーザー治療など、性機能と関係のない治療法で抜け毛や薄毛に対処できます。脱毛の悩みを抱えている人は、まずAGA専門のクリニックや病院で医師の診療を受け、適切な医療機関で相談してください。

    まとめ

    フィナステリド(プロペシア)による性欲低下・EDは、添付文書では発生率1〜5%未満と報告されています。しかし、稀だから大丈夫と簡単に片づけられる問題ではありません。以下の点を理解しておくことが重要です。

    • 性欲低下の発生率は1%〜64%と調査によって大きく異なる
    • 心理的な効果を差し引いても、性機能の副作用は一定の確率で発生する
    • 一部の人ではフィナステリド中止後も性欲低下や勃起不全(ED)が長期間持続する可能性がある(PFS)
    • ED治療薬の併用は対症療法であり、性欲の低下そのものは改善しない
    • デュタステリド(ザガーロ)はフィナステリドより性機能副作用のリスクがやや高い
    • 個人輸入での服用は、副作用発生時の対応が遅れるリスクがある

    フィナステリドはAGA治療において高い効果を持つ薬ですが、リスクを正しく認識した上で、医師と相談しながら使用を判断してください。これから服用を検討している方は、性欲低下が起こるリスクを理解した上でまず医師の診療を受けてください。すでに服用中で性欲低下やEDの症状が気になる方は、自己判断で中止するのではなく、処方元の医師に早めに相談してください。症状がいつ頃から出ているか、どの程度の変化かを伝えることで、薬の副作用なのか加齢やストレスなど他の要因なのかを医師が判断しやすくなります。性欲が落ちないAGAの治療法についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひナチュラルAGAクリニックの無料カウンセリングをご利用ください。

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    参考文献

    1. Lee S, Lee YB, Choe SJ, Lee WS. Adverse Sexual Effects of Treatment with Finasteride or Dutasteride for Male Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-analysis. Acta Derm Venereol. 2019;99(1):12-17.
    2. Liu L, Zhao S, Li F, et al. Effect of 5α-Reductase Inhibitors on Sexual Function: A Meta-Analysis and Systematic Review of Randomized Controlled Trials. J Sex Med. 2016;13(9):1297-1310.
    3. Mondaini N, Gontero P, Giubilei G, et al. Finasteride 5 mg and sexual side effects: how many of these are related to a nocebo phenomenon? J Sex Med. 2007;4(6):1708-12.
    4. Kiguradze T, Temps WH, Yarnold PR, et al. Persistent erectile dysfunction in men exposed to the 5α-reductase inhibitors, finasteride, or dutasteride. PeerJ. 2017;5:e3020.
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    6. Yim E, Nole KLB, Tosti A. 5α-Reductase inhibitors in androgenetic alopecia. Curr Opin Endocrinol Diabetes Obes. 2014;21(6):493-8.
    7. 浜松町第一クリニック. AGA治療薬の副作用(性機能低下)に関する調査. 調査委託先:株式会社ネオマーケティング. 2024年6月. https://www.hama1-cl.jp/about_aga/aga_medicine_side_effect.html
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